【叶芽side】
少し肌寒くなった秋の放課後。
オレンジ色に染まる歩道に、晃椰と2人の影を落とす。
優しく手を繋いでくれる大きな左手も好きだし、長めの前髪も好き。
前を見据える横顔も………。
「なに?」
「えっ⁉︎」
「すげー視線感じたんだけど。惚れ直しちゃった?」
「あ〜…そう、かも…」
「…っ、黙れよ。ブス…」
照れ隠しで、ぐしゃぐしゃっと髪を撫でられた。
雑な撫でられ方も嫌いじゃないの…。
あたし相当、晃椰のこと大好きだよ‼︎
「叶芽」
「うん?」
「今日、遠回りして帰りてぇな…」
「賛成‼︎向こうの道通ってみようよ‼︎」
あたしも晃椰ともう少し一緒にいたい。
不器用だけど気を使ってくれるんだもん。
そして、この日は遠回りをして駅まで送ってもらった。
駅の改札前で、電車が来るまで晃椰は一緒にいてくれるの。
––––––––そんな時だった。