奥に進むと叶芽は「あっ‼︎」と声を出して、近付いた。
それは、もうずっと使ってないピアノ。
「晃椰って、ピアノ弾けたの⁉︎」
「少しだけ。小学校低学年まで、無理矢理習わされてたから」
「すごーい…。なんか弾いてよ‼︎」
「無理‼︎俺、コンクールでいっつもドベだし‼︎」
「じゃあ‼︎あたしが弾いても良い?」
慣れた手付きで、椅子を調整し座った。
どこかで聞いた事あるクラッシックの曲。
見掛けに寄らず…ってやつだ。
「…あ、間違っちゃった〜‼︎久々に弾いたかも‼︎」
「お前もやってたんだ?」
「うん‼︎幼稚園から中3まで習ってたの」
「へぇ〜…意外。でも、うまいじゃんか」
「ありがとう‼︎褒められたら、やっぱ嬉しい……」
俯き気味に作る笑顔が不自然。
俺も叶芽の隣に座った。
「なんか…訳アリって感じだな」
「…高校受験で音楽科受けて落ちたんだよね〜‼︎」
「そっか…。わりぃ」
「ううん‼︎今、すっごい楽しくて後悔してないから良いの‼︎」
なんでも知ってる様に思ってたけど、俺がまだ知らない叶芽の一面もある。

