花火を見詰めるキレイな横顔に、少しイタズラしたくなった。


だって、俺は花火より叶芽に夢中。


俺ばっか好きなのはヤダ。


「こ、晃椰…‼︎」

「口閉じて」


叶芽を抱き寄せて、頬を撫でれば照れくさそうに俯く。


絶対顔赤いんだろうな〜……。


そっと、唇を重ねて俺の思いも乗せた。


「晃椰…。好き…」

「なにー?花火で聞こえねぇ‼︎」

「…好き‼︎大好きー‼︎」

「ははっ‼︎知ってる‼︎」


抱き付いてくる仕草も、無邪気な笑顔も………


俺もお前の全部が好き。



「来年も晃椰と花火見たいな」

「お前が浴衣着てくれんなら良いよ」

「着る‼︎絶対、着るよ‼︎期待しててね?」

「浴衣とか脱がしやすそう…」

「変な期待するのやめてもらえません⁉︎変態‼︎」


困った様に笑う叶芽と絡めた小指。


まだ見えない来年の夏の約束。


たった一つの約束をしただけで俺は嬉しくなるんだ。