性悪男子の甘い毒




そして日曜日の午後。


俺は荷物をまとめて叶芽のアパートを出た。


「すいません。お世話になりました」

「良いのよ‼︎また来てね?」

「ありがとうございます」


叶芽の母さん、ほんと良い人です…。



アパートの下まで、叶芽は部屋着姿で見送りに来てくれた。


寂しそうな顔は俺も同じ。


「ねぇ、晃椰。教えてほしい事があるの」

「なに?」

「新太君の家とか、ウチに来てた本当の理由は何?」


叶芽には全部お見通しだったらしい。


コイツには嘘付けないな。


「…母親が帰って来たから逃げてた。今更、一緒にいるの気まずくて。嘘付いてごめん……」

「そう、なんだ…」

「でも、マジで助かった。ありがと」

「ううん。全然良いの」


優しく微笑む叶芽の髪を撫でて、背中を向けた。


そして、歩き出した時………。


「晃椰‼︎ツラくなったら、いつでもおいで‼︎」


大きく手を振って、言ってくれた言葉。


どれだけ嬉しかったか知るのは俺だけ。