性悪男子の甘い毒




生温い夏の風が俺らを包む。


旧校舎の廊下にあるベンチに座るアイツの横に俺も座った。


「ん。これ、やる」

「い、良いの?」

「また泣かれたら困るからな」

「バカにしないでよ‼︎でも……ありがとう…」


校舎裏にある自販機で買って来た、いちごミルク。


女の子が何好きか分かんなかった…。


「あたし、あの女の子の気持ち分かるんだ〜…」

「お前もフラれたことあるんだ」

「中3の卒業式にコクって大失敗。その時に言われた言葉、今でも覚えてるの」

「それ聞いたら怒る?」

「ううん。別に〜。…俺はもっと可愛い女の子が好きなんだよねー、だってさ‼︎」


旧校舎の天井を見上げて笑った。


きっと、ツライ思いしたんだよな…。


「だから、高校入ったら誰よりも可愛くなってやるーって思った‼︎」

「お前のことフったヤツ、今会ったら後悔すんじゃね?」

「あははっ‼︎そのつもり‼︎」


コイツに対する見方が変わった。


俺が思ってた様なヤツじゃないかも……。