カフェを出た後、新太は先に家に帰り俺と叶芽の2人きり。


アイツを駅まで送る道のりの桜並木の下を歩いている時。


手を繋ぐ力がぐっと強くなった。


「晃椰」

「ん?なに?」

「…なんかあった?嫌な事とか…」

「なんもないけど…。なんで?」

「なんとなく、かな。表情がいつもと違うから‼︎」


叶芽には全部バレバレらしい…。


だけど、それ以上深く聞いて来ないのは叶芽の優しさ。



「今日のケーキ美味しかったね〜‼︎また食べたい‼︎」

「よく甘ったるいもん食えるな」

「だって、好きなんだもーん‼︎」

「ふーん。好きなのケーキだけ?」

「チョコも好き。あと、焼肉とか…」

「ちげーよ、バカ‼︎」


人通りの少ない駅の前。


鈍感な叶芽にキスをして、照れ隠しで頭を撫でた。


俺、何恥ずかしい事してんだよ……。


「晃椰も…好きっ」

「うるせぇよ…ブス…」

「あの〜…耳まで真っ赤だけど」


お前といたら調子狂うわ…。


でも、俺はどんな状況になっても叶芽がいてくれればそれで良い。



それだけで俺は大丈夫。