鼻歌交じりに機嫌の良い叶芽の手を繋ぎ、駅まで送る放課後。
俺まで楽しくなるから、すげー単純…。
「晃椰‼︎今日、遠回りして帰ろ?」
「なんでわざわざ…。疲れる」
「まだ一緒にいたいのに……」
「…っ‼︎仕方ねぇな‼︎好きにしろ‼︎」
素直な叶芽の反応で俺の負け。
遠回りして駅まで送った。
「わがまま聞いてくれてありがとう‼︎」
「お前に嫌われたら困るんで」
「そう簡単に嫌いになんてならないよ。じゃあ…また明日ねっ‼︎」
「ん。またな」
アイツを見送って、来た道を引き返して帰路に着く。
いつも通りマンションに入り、エレベーターに乗る。
そして部屋のドアを開けると、玄関に黒のパンプスが揃えられていた。
あぁ……帰って来たんだ。
「あら、おかえり晃椰。久し振りね」
「仕事は?」
「冷たい。帰って来て早々、仕事に行けって事?」
家にいるクセにスーツのまま。
会いたくなかった……。
俺の母親。

