【叶芽side】



女の子らしい小さな仕草に、高めの声の話し方。


黒髪に薄いメイクの正統派。



これだけで、男なんてすぐに尻尾振る。


男って簡単で単純。


どうせ正統派の可愛い女の子が好きなんでしょ?


高校1年生になり、気付いた。




容赦無く照り付ける太陽に、息苦しさを覚える7月の初め。


まだまだ初夏なのに猛暑日だ…。


学校まであと少しの距離で頑張りたいけど、熱くて苦しい……。


その上、運悪く女の子特有のアレが3日目。


具合悪さが増してくばかり。


あぁ……視界がクラクラする……。



そんなあたしの具合悪さを知らずに、呑気に声掛けてくるヤツら。


「叶芽ちゃん‼︎おはよ〜」


何組か忘れたけど単純な男子。


「あっ、おはよ〜‼︎」


余裕のある笑顔を精一杯作って、小さく手を振り返す。


顔赤くしちゃってバカみたい。


人の気も知らないでさ。



だけど、男なんてみんな一緒。


あたしの初恋の人だって、その内の1人だったじゃん…。


苦い思い出が蘇り、忘れる様に頭をぶんぶん振った。