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カランコロン───



カフェに良くありがちな、綺麗な鈴の音がする。



「いらっしゃいませ」



常連客である私に声をかけてくれたのは、私より少し歳が上のイケメンアルバイト店員。



「お好きな席にどうぞ」



よく営業スマイルを浮かべる人が多い中、このイケメンアルバイト店員は偽りのない爽やかな笑顔を浮かべる。



私は軽く会釈をして、いつもの席へと足を進める。



カウンターの一番左側、窓側の席。



───私の特等席。



とは言っても、予約しているわけでもなければ、こうやって今日みたいに必ず空いてるわけでもない。



この席が空いていない時は、私お気に入りのカフェラテを飲んですぐに帰る。



けれど、この特等席に座れた時は、つい長居してしまうんだ。



それもそのはず。



この席からの眺めは最高。



青々と茂る緑の草木に囲まれて、色とりどりの花が咲いている。



少し高台にあるこの土地だから、木々の隙間から見える街の眺めは素晴らしい。



思わずうっとり見とれてしまう。



夕暮れ時なんかは、夕日が差して最高だ。