「美冬ー、どうたった?」


最終日のテストが終わると同時に、梨花ちゃんが声をかけてきた。


私は苦笑して「手応えはないなあ」と答える。

梨花ちゃんが「だよね」と大きく頷いた。


「私も微妙だなあ。全体的に思ったより難しかったし。やっぱ高校のテストって厳しいね」

「うん。範囲も広かったし、数Ⅰとかかなり危ない気がする」


そんな会話をしていると、雪夜くんを引っ張った嵐くんがやって来た。


「どうだった? 俺は英語と古典が絶望的」

「とか言って、どうせ嵐のことだから、うちらよりできてるんでしょ」

「ま、だろうな」


嵐くんがにやりと笑って答えると、梨花ちゃんが「わあ、やらしい!」と言って彼の肩を小突いた。


そんな二人の様子を、私と雪夜くんは黙って見ている。


「雪夜くんは、どうだった?」


視線を上げて訊ねてみると、雪夜くんはいつもの素っ気ない口調で「べつに、普通」と答えた。


「赤点あったら、放課後補習らしいよ。大丈夫? 雪夜」


と梨花ちゃんが言う。

雪夜くんは「さあな」と興味もなさそうに呟いて、窓の外に目を向けた。


「相変わらずクール! 雪夜はぶれないね」

「だって、雪夜だからな」


梨花ちゃんと嵐くんが肩を竦めて言ったけれど、雪夜くんにはもう聞こえていないようだった。


「ま、とりあえずテストも終わったことだし、今日は皆で昼飯でも行くか」

「いいね! テストのことはいったん忘れて」

「そうだね、考えてても仕方ないもんね」

「そうそう。結果が出るまでは羽根のばそう!」