Blue Moon


「…えっと…貴方は、どうしてこんなところに?」


「街で、この城には幽霊が出るっていう噂を聞いたんだ」



どうやらいつの間にか、街の方ではここはちょっとした心霊スポットになっているようだ。



「そうしたら、幽霊どころか本物の女の子が住んでた」



ふわり、と笑いかけてくれた茶色の瞳が揺れる。


月明かりが反射して、まるで硝子玉のよう。




「ね、ねえ!」


「ん?」


「えっと、…ネオは、外の世界から来たのよね?」


「まあ」


「外の世界ってどんな感じなの!?
私、ウミっていうものを見てみたいの!」


「え、海って…あの海?」


「そう!
あの、青くて透き通っててどこまでも続いてるっていう!
あとね、今って街の方はどんな感じになっているの!?

私、ここから出たことないからわからなくて…」




きっと、さぞ華やかで煌びやかで、お洒落な人が多いんだろうなあ…




想像しただけで楽しくて、つい笑みが零れてしまう。




そんな表情を見て、ネオは小さく噴き出した。