「でも…それじゃあ、ちっとも休めないじゃない」


「俺は慣れてるから大丈夫。
それよりお嬢さんこそ…、まだ真夜中だけど」


「私は……」



つい話の流れで話し出しそうになった口を慌てて噤んだ。



「――――…私は、ただ目が覚めただけ」



急いで繕って言い直すと、ネオから「そっか」と返ってきただけで、特別その違和感に気づかれることはなくて少しホッ、とした。







――――私は、夜を恐れている。


…だなんて、そんなこと…言えるはずがない。



私が、夜中城内を歩き回っていた理由は、幽霊探しともう一つ。

夜が過ぎるのを待っていたからだった。


月が出ている日は、ただひたすらに月夜に身を委ね。

月が出ていない日は、夜が過ぎるのをただひたすら願いながらうずくまり、待っていた。



そして、夜があけた時、私は再び眠りにつくのだけど。



初めて船に乗った時は、そんなことは微塵も感じなくて、もしかしたら克服出来たのかと思った。



しかしそれは、ただ疲れていただけであって、それはまったく期待はずれだった。



こうして、日の出まで数時間はあるちょうど真夜中に起きてしまっているのだから。