ネオのあとに続き、私は走り続ける。
やがて、徐々に見失ったはずの黒い影が私の視界に入ってきた。
それからはあっという間で。
一気に速度を早めたネオが、その影の目の前に立つ。
後ろには私がいるわけで、上手く挟み撃ちに成功することができたわけだ。
「お前ら、しつこいんだよ!」
目の前でうろたえる男の人の怒号が木霊す。
「…あなたこそ…っ!
さっ、き取ったものを、返し、なさい…っ!」
息切れしながら叫ぶ私は、何の説得力もない。
ひたすら、はあ、はあ、と息を整えるしかなかった。
十何年も城に引篭もっていたのだ。
ここまで走れた自分に敬意を表したい。


