変なことを言ったつもりはないのに、と腑に落ちないでネオを見ていた時。
「――――きゃああああ…!」
どこからか、女の人の叫び声が木霊した。
ハッ、と息をのんで、そちらに目を向ける。
その光景を見たとき、目を瞠(みは)った。
すでに、人が一人、倒れていて、その先には黒い影が走り去っていく様子が目についたから。
女の人の悲しそうな泣き声を含んだ叫喚が辺りに響き渡る。
何が起きたかなんて、無知な私にだってわかる。
「…追いかけなきゃ…」
ほぼ、無意識だった。
反射的に身を翻し、先ほど渡された袋を、ネオに押しつけて走り出そうとした。
しかし、それは伸びてきた腕によって遮られてしまった。


