「あ、ああ…、これはすまない。
伝達役の方でしたか…」
マスターの言葉で、私は小首を傾げる。
「えーっと、今回はこれとこれを、ここの国に五日以内で。
それと、この種類のものは、こっちの方に。これも早いうちに」
「はい、…はい、承知しました」
「それから、これね」
疑問符をたくさん浮かべる私をよそに、ネオは次から次に説明をしていって、最後に一通の白い封筒を差し出した。
それを丁寧に受け取って。
「今回もありがとうございます」
そう言って、今度はマスターが小さな袋を差し出した。
微かに、ちゃりん、と金属のぶつかる音が聞こえる。
ネオは平然とそれを受け取り、私に渡す。
え!?、とネオに視線を向けるが、彼は笑みを浮かべるだけ。
「いえいえ、またよろしく」
そして、ひらひらと手を振って、酒場を後にした。
扉が閉まるその一瞬までも、マスターが私達に頭を上げることはなかった。


