歯車の回る音が微かに聞こえてくる。
どれだけ長い間を刻んできたかわからないその音は、未だ衰えを知らずに鮮明に刻み続けていた。
「いや、でもこれ…」
「もう古いから、そんなに高くは売れないと思うけど…、この洋服代くらいにはなると思うの」
「…お嬢さんの、大切なものじゃないのかい」
「大切だけれど、ネオにだったらどう使われてもいいわ」
まだ、私に出来ることはこれくらいしかない。
それでも、少しでも何か出来ることがあるなら――
私は、例えそれが大切なものでも手放すことが出来る。
「…本当に、気にしなくていいんだけどな…。
でも、ありがとう」
少し間をあけてから呟いて受け取ったネオに、ホッ、と息をついた。


