「そういえば、そろそろ街に着くよ」
「本当!?」
その言葉で私は一気にかけて、甲板へと出る。
確かに船の向かう先には、今まで見たことない大きな街が建ち連なっていた。
まったくの未知の世界に来たようで、つい言葉を失っていると。
「―――へえ、あれがフィーリスか」
いつの間にか隣に来ていたネオも、額に手を翳(かざ)しながら呟いた。
「フィーリス?」
「おそらく、ここらじゃ一番でかい国だね。
俺も来るのは初めてなんだ」
へえ、と相槌を打ってもう一度、目を向ける。
私は、静かに吹く風を受けながら、徐々に近づいてくる街に大きな期待を寄せた。