「それじゃあ、私を連れてきてくれたのはどうして?」
「…さあ…、どうしてかな。
気づいたら口が動いてた」
「貴方って、変わってるわね」
クスクス笑うと、ネオは少し困ったように微笑んだ。
「あんたほどじゃないよ」
そんな話をしていると、いつの間にか日は傾き、藍色の空が顔を出し始めていた。
どこまでも続く、水平線に一本の光の道が通っている。
「ネオ!」
「ん?」
「私、ネオに出会えてよかったって思うの!
そうじゃなきゃ、こんな世界一生知らなかったわ!
だからいつか貴方と同じ景色を見させて。…約束よ」
彼のことはまだ知らないことが山ほどある。
「―――わかった。約束する」
それでも、あの月の下で出会えたことは、私にとって運命だったのだと信じたい。