「ああ、私たちの可愛い子。
どうか、生きて…その目でいろんなものを見て、いろんなものを感じて。
どうか、貴女に、神のご加護がありますように。


この目で、貴女の成長を見ることが出来なくて、ごめんなさい」



静かに、その仄かに赤いふっくらとした頬へ、交代でキスを落とす。




「いつだって、私たちは、お前を見守っているからね。




……行きなさい。その子を頼んだよ」






国王のその言葉で何人かの女中が、二人に頭を下げて、胸中にある子を落とさぬように、しっかり抱きしめながら、慌ただしくその部屋から出て行った。







それから、いくばくも経たぬうちに、城内は紅蓮の炎に包まれた。