「い、いきなり何するのよ!」
「いやいや、お嬢さん…
こうしないと降りられないでしょ」
「下まで行けばいいじゃない!」
「そんな時間はないよ。
日が昇るまでに街に行かないと」
「どうして?」
「船に乗るんだ」
『船』というワードに反応した瞬間。
「―――しっかり掴まっててね」
その言葉と共に、私の体は宙を舞った。
ふわ、とした落ちる感覚と地面に無事着地したであろう振動。
振り落とされてたまるか、と私は必死にネオに掴まる。
しばらくして、安定した走りに入った振動で目を開けると、今まで住み慣れたお城が白い月明かりに照らされ、幻想的にそこに建っていた。
それを見た瞬間、とても複雑な感情がこみあげてきて、私はネオの胸に顔をうずめることしかできなかった。
そんな私を知ってか知らずか、ネオは街に着く間何一つ言葉を発しなかった。


