「別に喧嘩は売ってません」
「売ってんだろ! 言っとっけどテメェもだからな! しゃべったら残念なのは!」
「はあ? そんなわけないでしょ」
「口が悪ぃんだよ致命的に」
「うわぁ、あなたには言われたくない」
「あ゛!?」
血の気の多い阿呆がバァンと力任せに机を叩くから、置いてあったミルクティーがちょっと机の上に飛び跳ねた。
よかった、私はいちごミルク手に持ってて。
チッと舌打ちをしてクールダウンにミルクティーを飲む。機嫌悪そうにそっぽを向きながら。
黙るとまた静かになって、机に肘をつくその姿だけ見ると、なんだか賢そうに見える。
「……やっぱり黙ってるべきだな」
「お前やっぱ喧嘩売りに来たんだろ」
「心の声がもれちゃっただけです」
「へー心の声がね。へー。ふざけんな」
「おっ、ノリツッコミ」
「もう一度言う。ふざけんな」
意図せず、本当に意図せず心の声がボロボロこぼれてしまう私に、諦めたのか彼は声を荒らげるのをやめた。
不機嫌オーラを醸し出すのはやめない。


