身体の中が熱くてどうしようもなくて、私は冷たい空気をお腹いっぱいに吸い込んだ。

顔をあげて、バチリ。こっちを見てた瞳と向かい合って。



「分かんない。好きかどうか、全然分かんない。喜一のこと」

「……そうかよ」

「性格変わらないから普通に自己中なままだよ」

「会いに来た時点で分かってんだよそんなこと」



喜一が目を緩ませて笑った。優しい、顔で。あれ、なんだか。

涙が出てくるのが分かった。両目からぽろり。なんでだろう。どうして喜一の顔みて出てきたんだろう。

うわ、かっこわるい。



「……地元に残るんならもう遠距離じゃねえじゃん。今まで通り会えるし」



私の人生でいちばん情けなくてかっこわるい選択を、喜一は平気で口にする。

……あれ、でも、これ、かっこわるくないんだっけ。さっき喜一が言ってたな。
頼れ、って、よく分かんないけど。


手が伸びてきて頭の上に置かれた。その上をぐりぐり往復する。致命的な衝撃受けたそこを、まるで、守るように。
なんだこれは。むずがゆい。



「今までの分、甘やかしてやりてえなー」

「……そんなの、いらないし」

「うわ、言うと思った」



自分でぐちゃぐちゃにした私の髪を直して手ぐしで梳かしながら、私の顔を上げさせて再び目を合わせた。



「で、返事は」