少しだけ顔を上げるとまぶしくて痛いほどの青空を背景に、まっすぐ真剣なふたつの目が見えた。

空の色は変わってないはずなのに。彼ばかり鮮明に見えて、仕方がない。

どうして懐かしいんだろう。




「……勝手な理由で別れたのに、」

「本当勝手な。でも俺知ってんだよ。お前が馬鹿みてーに強がりなのとか甘えんの下手なのとかプライド高いのとか。3年一緒にいたから」

「………………」

「付き合えんの俺くらいだと思うんだよなー」

「………………」




嫌になるほどプライドばかり高くて、自分でひとりで抱え込むから協力プレイが下手で、自己中で。

そんな私を、彼は知っているらしい。

それを彼が知るために今までどれだけ苦労させたのか、私はひとつも思い出せない。


また少し俯くと喜一からあー、と小さく声が漏れた。



「……うそ。本当は俺が一緒にいたいから。付き合ってクダサイ」



顔の見えない私に彼は告げる。

何言ってるんだ、なんだ、この人。



「……なんで一緒にいたいの……」

「はあ? 好きだからつってんだろ」



なんだ、この人。

息が苦しい。頭が痛い。胸も痛い。
特に心臓が、ありえないほど運動してる。