「今さら何しに来たわけ? 自己中女が」




……元カレってこんなものだろうか。


清々しい風と青空ひろがる高校の屋上。


いかにも面倒くさそうな態度で面倒くさそうな口調で面倒くさそうな足取りで現れたのは元カレもとい小番喜一(こつがいきいち)、
小さな街の様子を見下ろしながら健気にここで彼を待っていた私は紗咲梓(ささきあずさ)。



3週間前までカップル。



「……もうちょっと禄な登場できないんですか」

「ああ? うるせーな急に呼び出しといて。何だよ、どういう風の吹き回しだコラ」

「のっけからガラ悪いですね」

「ガラ悪くもなるだろお前自分がしてること考えてみろよ!」

「いやまあそれは」



反省、しますけど。


付き合っていた頃よく会っていた場所。彼の学校の屋上。他校生同士の私たちはこうしてお互いの学校にひっそり侵入しあって、教室ではなく屋上で。

無造作に置いてある机と椅子、よくそこに座って紙パックジュースを飲みながら話し込んでた、っていう、思い出の場所。


いっしょにいろんな表情の空を、街を見た、いろんな風をあびた、雲に覆われた、そんな場所。



「あーあ、ねみぃなー。貴重な昼寝時間だったのになー。邪魔されたなー。あー面倒くせえ」

「チッ」



にも関わらず、この険悪なムード。