そして夜ー


「ねぇ、美波。

私本当に日本に帰れるのかな。」


「……………え?」


「私、ずっと夜が怖いの。

目を閉じたらちゃんと目が覚めるのか

不安になってばかりなの。」


「……………わかるよ。

でも由茉なら大丈夫だよ、絶対。」


「でも私の余命はとっくにすぎてるの。

いつ死んでもおかしくないはず。」


「死ぬなんて簡単に言わないで。

一緒に外に出るっていったでしょ?

約束破ったら許さないからね。」


「………ずっと死ぬことなんか怖くなかった。

早く死んでしまえばいいのに

そんなことばかり考えてた。


だけど美波と知り合って

美波と仲良くなって美波を好きになって

私は死ぬことが怖くなった。


ずっとずっと美波と一緒にいたいよ。」


「由茉…。」


由茉の目はかすかに潤んでいた。