日本語の通じないこの病院。
手続きなどはすべて佐野さんとお母さんがやった。
私は佐野さんに言われるがまま
点滴をつけられた。
「美波ちゃん、車椅子もってきたから座って。」
「ありがとう。」
もう歩くのはしんどかった。
立つのも辛い。
ちょっと無理しすぎたかな…。
私は車椅子で運ばれ
病棟まできた。
「美波ちゃん、私はここまで。
ちゃんと治して
日本に帰る前でもいいから
私のところに来てね。」
「……………佐野さん、ありがとう。」
「またね。」
……………またね、か。
その"また"は私には来るのだろうか。
それから私はわけのわからない英語で
お母さんと共に病室へと案内された。
そこには白くて綺麗な黒髪の
日本人らしきかわいい女の子が一人、いたのだ。
「美波、お母さんちょっと出るから。
ここには寝泊まりできないから部屋借りたの。
佐野さんとちょっと行ってくるわね。」
「あ、うん。わかった。」
お母さんは病室に入ることなく
どこかへいった。


