課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 少しだけ戸を開け、雅喜が地元情報誌らしきものを突っ込んできた。

 折られているそのページを見ると、なるほど、釣り大会の記事がある。

「……参加自由。
 カップル釣り大会。

 カップル!?
 私、釣りしたことありませんっ」

「全然か?」

「いえ。
 小さいときは、兄に付き合わされて付いて行ってましたけど。

 自分はあんまり……」

「なんでもいい。
 居るだけでいい。

 来い」

 なにかもう、私じゃなくても、マネキンでも女なら座らせとけばいいくらいの感じですね、と思った。

「その釣り竿が欲しいんだよ」

「釣り竿?」

 見ると、なにやらよくわからないメーカーの立派そうな釣り竿が優勝商品のようだった。

「あまり出回ってないやつなんだ。
 どうしても欲しい。

 今度、大学の友達と船を出すって言っただろう。
 そのときまでに欲しいんだ」

 はあ、そうですか、と思った。