「課長」
部屋に戻った途端、神妙な顔で話しかけてきた真湖を雅喜は振り返った。
「もう一度、ジャクジーに入ってきてもいいでしょうか」
「……入って来い。
まだ時間はある」
はい、と仕事中のようないい返事をして、真湖は去って行った。
どっちかというと、早く此処を出たい、と思いながら、雅喜はそれを見送る。
昨夜、湯上がりで浴衣だと、八割色気が増して見えると言ったが、今朝のように、寝ぼけていて、半裸だと、さすがに、十二割増しくらいに見える。
……さっさと此処を出よう、と荷物をまとめた。
幸い、真湖は女にしては、荷物が少ないので、ジャクジーから出たら、すぐに支度も出来ることだろう。
荷物をまとめ終わった雅喜は、ソファに座る。
珈琲を飲みながら、朝刊と、一緒に入っていた観光スポットの情報誌を眺めていた。



