課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「そんなんじゃない」
と言いながら、雅喜は何故かベッドに腰掛け、溜息をつく。

「どうしたんですか?」
と言うと、

「いや、自分でもよくわからない」
と言い出した。

「なんだかわからないですけど、話してみてください。
 私でもお力になれることがあるかもしれないじゃないですか」

「あるわけないだろう」

 いや……まあ、そうなんですけど。

 喧嘩売るだけなら、帰って、と思っていると、雅喜はまた口を開いた。

「お前、この間……」
と言われ、どきりとする。

「珍しく俺に話しかけてきて、結構無礼な口をきいてたろう」
といっそ、一生知りたくなかった事実を教えてくれる。

 ひいっ。
 酒の力って怖い。

 言ってしまったことも怖いが、まるきり覚えていないことも怖かった。