朝、目を覚ました雅喜はトイレから戻るときに、すごい音を聞いた。
ドンッ、と重いものが落ちたような音だ。
どうやら、寝室のようだ。
……まさか、あの莫迦、落ちたんじゃないだろうな。
迷ったが、そっとドアを開けてみる。
真湖はベッドからは落ちてはいなかったが、布団は全然かかっていないし、浴衣は、それは着ているつもりなのか? という状態だ。
「……だから、浴衣は嫌いだと言ったんだ」
と入り口で呟く。
ほとんど帯を絞めてるだけじゃないか。
放っておこうかとも思ったのだが、山の朝はひんやりする。
そうっと布団をかけてやったのだが、真湖は目を覚ました。
「あ、課長。
おはようございます」
と言ったあとで、一拍置き、すごい勢いで起き上がってきた。
慌てて、離れる。
「おはようございますっ。
……あれっ?
あれ……っ?
おはようございます?」
「お前、今、会社だと思っただろう」
「はあ。
すみません。
今、ちょうど会社で大失態をやらかして、叱られている最中だったので」
どうやら、夢の話のようだ。



