課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「宿代はボーナス一括ですってば。
 月々は余裕ないですもん」

「余裕ないって、それなり貰ってるだろうが」
と横目に見られる。

「だって、結構うちの会社に居たら、付き合いで出るお金が多いし。
 外食とか。

 貰ったら、貰っただけ出る仕組みになっているというか」

 そう言ってみたが、
「それに飲まれて使う方が悪い」
と切り捨てられた。

 はあ、ごもっともです。

 この人は全く周りに流されそうにないなあ、と思う。

「まあまあ」
といつまでも揉めているせいか、運転手が割って入った。

「いいじゃない、お嬢さん。
 金持ちそうな彼氏が出してくれるって言ってくれてるんだから。

 そういうときは、素直に出してもらっとく方が可愛いよ」

「え?
 この人、彼氏じゃないですよ。

 会社の……」

 少し身を乗り出して、運転手に言いかけると、後ろから手を伸ばした雅喜に口を塞がれた。

 この莫迦がっ、という顔をする。

 そうか。
 彼氏じゃなくて、会社の上司です、とか言ったら、じゃあ、どんな関係だと思われるな、と気づいた。