課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「そういえば、さっき、お風呂上がってから、此処に来るまで、機嫌が悪かったの、なんでですか?

 温泉、いまいちでした?」
と言うと、また、

「……いや」
と言う。

 真湖は畳に手をつき、身を起こして訊いた。

「無理やり私が此処に付き合わせたからですか?」

 雅喜は目を閉じたまま言う。

「俺も来たかったと言ったろう。
 別に機嫌は悪くない」

「そのように見えないから訊いてるんですけど」

「俺はこれが普通の顔なんだ」

「違いますー。
 さっき、坊ちゃん団子を見たときとか、この建物を見たときとか。
 プラネタリウム見てるときとか、そんな顔じゃなかったですよ」
と言うと、

「プラネタリウム見るときは、プラネタリウムを見とけっ」
と赤くなったらしい雅喜に言われる。

「いやー、課長、楽しんでるかなー」
と思って、と言うと、

「お前は引率の先生かっ」
と言われた。

 少し間があり、
「……別に楽しくないわけじゃない。
 ちょっと気になることがあっただけだ」
と言う。