課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




「道後温泉って、奈良時代にはもうあったらしいですねー」
と言いながら、湯上りに、個室で、お茶と坊ちゃん団子をいただいた。

「坊ちゃん団子はこの三色の色合いと丸っこさが、なんとも言えず可愛いですよね。
 子供の頃、大好きだったんですよ」
と言ったあとで、真湖は呟く。

「……寝転がりたいです」

 こんな素敵に懐古趣味的な、いや、本当に古いんだが―― 畳の部屋なのに、と思っていると、雅喜は、
「寝転がれ」
と言う。

「いえ、課長の前で、ご無礼かと」

「別に構わない。
 俺も充分寛いでいる」

「いやあの……少しは姿勢を崩してから言ってくれませんかね?」

 雅喜はいつも背筋を伸ばしていて、あまり乱れない。

 こちらも合わせなければならないのではないかと思ってしまうのだが、彼的には寛いでいるのだと言う。

 まあ、そういう人って居るよな。

 確かに背筋が伸びている方が気持ちいいし、と思っていると、雅喜が、

「お前も大概姿勢がいいぞ」
と言ってきた。

「でも、今は寝転がりたいです」
と力説すると、

「だから、寝転がれ」
と繰り返される。