何故、人はカップルで温泉に行きたがるのだろうな。
雅喜風に言うと、特にカップルでもない、一組の男女のことだが。
ひとり、霊の湯で湯に浸かりながら、真湖は思っていた。
女同士で入るのなら、べらべらしゃべってられるのになー、と。
男の人と来たら、ひとりじゃん。
あー、でもいい湯だ、と目を閉じる。
二階の大広間でゆっくりというのもいいなと思ったのだが、ちょっと奮発して、三階の個室を借りてみた。
礼子たちが、坊ちゃん団子、坊ちゃん団子とうるさかったので、洗脳されていたからだ。
個室でないと、浴衣とともについてくるお茶請けがお煎餅なのだが、個室だと、坊ちゃん団子なのだ。
頼むとき、雅喜が、やっぱりな、という顔をしていた。



