課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 


 プラネタリウムを見たあと、移動して、道後温泉本館に行った。

 子供向けアニメの舞台になっているというが、本当に、その建物の周辺だけが、突如、街中に降ってわいた異空間のように見えた。

 その土地だけ、ぐるっと切り取られて、過去が見えているような。

 隣でその古い木造建築を見上げていた真湖が言う。

「そういえば、昔はよく此処に温泉入りに来てたんですよ。
 おばあちゃんに連れられて、船で」

「船で?」
と問い返しながら、だから、お前のばあさんちは何処だ、と思っていた。

「そう。
 船の中でちょっと寝たりして、楽しかったんです」

「最近は、そのおばあちゃんとは来てないのか?」

「……おばあちゃん、ちょっとボケちゃって。
 今、施設に居るんです」

 少し寂しそうに真湖は言った。

 自分がどんな顔をしたのか、
「あ、大丈夫ですよ。
 会いに行ったら、いつもにこにこにしてくれてますから」
と慌てて真湖は言う。

「さ、行きましょう、課長っ」

 そう言って、いつものように、元気に歩き出した。