課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 なんで、こいつと旅行に来たんだろうな。

 ネットで真湖と予約のクリックをしたときの気持ちもわからないし。

 じゃあ、行ってみるかと言ったときの気持ちもわからない。

 行ってみるかと言ったときは、酔ってはいなかったはずなのに。

 電話をかける瞬間まで、誘ってみるかどうかは正直迷っていた。

 だが、真湖の、のほーんとした緊張感のない声を聞いていたら、なんとなく乗せられ、言っていた。

「じゃあ……行ってみるか。
 プラネタリウム」

 今もまた、なんだかわからないが、真湖の話が終わったときに言っていた。

 真湖が嬉しそうに笑う。

 こいつ、笑うんだな、と思った。

 いや、人と一緒に居るときには、よくころころと笑っているのだが、俺を前にすると、いつも、どうした!? というぐらい強張っているのに。

 だから――

 あのとき、ちょっと嬉しかったのかもしれない。

 あの絵の前で、にこにこと真湖が自分に話しかけてきたとき。

 いつもは懐かない部下が自分に笑顔を向けてきたことが。

 そうだな。
 きっと、それだけだ、と思う。

 ……そのあとのことは、ちょっとやりすぎだが。