課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




 新幹線から、しまなみライナーに乗り換え、
「しまなみは、島ばっかりですねえ」
と阿呆なことを言いながら、海を渡り、松山に着いた。

 静かに美術館でミュシャを堪能しながら、来たの、課長とでよかったな、と思っていた。

 なんというか、落ち着く。

 それぞれが勝手に絵を見ていて、一緒に居るわけではないし、話もしないのだが、その自由さがよかった。

 昔、男の子の友だちと美術館に行ったことがあるのだが、気を使って、なんだか落ち着かなかった。

 雅喜とだと、彼も好きなように見ているという安心感から、気を使わなくていいので、楽だった。

 近くのカフェで、ロイヤルミルクティーとサンドイッチを食べながら、今、見た絵の話をしたあとで、浮世絵の話になった。

「私、浮世絵も好きなんですよ」
「そうなのか」

「萩の浦上記念館とか常設であるから。

 何時間でも見ちゃいますね。
 花見の絵とかに書かれてる屋台をひとつずつ丹念に。

 お寿司とかてんぷらとか。
 この時代の方がなんだか美味しそうだ、と思いながら」

 そんなことだと思った、という顔を雅喜はした。

「萩とか行くのか?」