課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




 なにが頑張ります、だ、と真湖は響子と別れた帰り道、しゃがみ込む。

「頑張るのか?」
と笑った雅喜に訊かれ、

「いえ……が、頑張りません。

 ガンバリマセン……」
と繰り返す。

 っていうか、なにを頑張るんだ、と自分で思った。

 結婚の話も寝耳に水なのに、安請け合いしてしまった。

 男の子が産まれなかったらどうしよう、と青くなる。

「男でも女でもきっと可愛いさ。
 どっちに似ても、誰に似ても」
と雅喜が手を差し出してくる。

 その手を握り返しながら訊いた。

「誰にでもって、誰にですか?
 誰か他の人?」

「阿呆か。
 隔世遺伝とかあるだろって言ってるんだ。

 お前の親とか、うちの親だよっ」

 羽村や三上やコウチャンに似てたら、大問題だろっ、と言って、立ち上がりかけていたのに、手を離される。

 おおっとっ、とよろめいた。

 だが、雅喜が抱きとめてくれる。

 間近に見つめて雅喜が笑った。

「行ってみるか?」
「え?」

「あの線路沿いにだよ――」