課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「私も主人にまだ言ってもらってないもの。
 似てるからねえ、あの二人」

「そ、そうなんですか」

「まあ、言葉で示してもらうことが必要かと言うと……」
 響子はそこで酒を呑む手を止める。

「……必要よね、やっぱり」

 俯き、低くつぶやく。

 しまった。
 余計なところに火種をまいてしまったようだ。

「ま、まあ、いいですよ、うん。
 別にそんなことは」
と慌てて取り繕う。

 雅喜が戻ってくるのが見えた。

 そちらを見ながら、
「まあ、確かに、ちょっとマザコンかなとか思ったりもしますが」
と言うと、なにっ? とスマホをしまいながら、雅喜がこちらを見る。

「でも、息子にとって、母親っていうのは、ずっと綺麗なものであって欲しいし。
 私もそんな風になりたいかな、と思うので」

 響子が笑って言った。

「真湖さんは男の子を産んでくれるの?」

「が、頑張ります……」