仕事中、雅喜がチラとこちらを見た。
何故か溜息をつく。
「沢田」
と手招きされた。
「は、はい」
と慌てて立ち上がり、前に行くと、
「……何故、お前、ずっとこっちをガン見してるんだ」
と小声で言われる。
「どうした? と訊いてやりたいところだが、此処は職場だから」
とぼそりと言ったあとで、
「真面目に仕事しろ、沢田!」
強い口調で叱られ、ちょっと泣きそうになる。
その顔を見た雅喜は、何故か、ちょっと表情を緩め、手元にあった紙のファイルで、ぽす、と頭を叩いてきた。
少し笑っている。
家でもたまにしか見せないような顔で。
つい、見惚れてしまった。
いや、やっぱり、こんな顔見たら、みんな課長のことを好きになっちゃうよ。
礼子に言ったら、莫迦なの? と言われるかもしれないが。
だが、そこで、雅喜が言った。
「……これだから、同じ職場は駄目だと言われるんだな」
と。



