課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 


「どうしたの? 真湖。
 朝はあんなにテンション高かったのに」

 今日は雅喜は遅くなるらしいので、真湖は礼子と買い物に出て、時間を潰していた。

「いや……なにかこう、釈然としなくて」
と気に入った薄手のコートの値札を見て、急に気に入らなくなったりしながら、答える。

「どうでもいいことが気になったりするのよね」

 そうぽつりと呟く。

 冷静に考えて、ちょっと怪しい電話をかけていた雅喜と、二度も他の男にキスされた自分と、どっちが問題あるかと言えば、自分なのだが。

「いやでも、あんな態度取られると気になるしーっ」
と言いながら、意味もなく、店内を歩いていたが、

「へー、面白い。
 真湖が恋でのたうつなんて、初めて見た」
とこの薄情な友人は笑っている。

「たまにはいいわよ、そういうのも」

「たまにはってなによ。
 課長が浮気してたら、どうしてくれるのよ」

「いや、あんた、どうしてくれるのよってなによ。

 私に言ってどうすんのよ。
 落ち着いて、真湖」
とぽん、と両肩を叩かれた。

「あの課長と浮気できる女なんて、そうそう居ないから」