そのあと、専務にも趣味がいいと指輪を褒められ、機嫌よく階段を下りていたら、下から羽村が上がってきた。
目線が指輪を見ている。
「あ、これ……」
「外しなよ」
……早いな、この人は。
なにも言う暇もなかったぞ、と思う。
「外さないと、僕とキスしたこと、課長にバラすよ」
「どんな脅しですか。
それ言うのなら、私、警察に通報しますよ」
羽村は真湖のすぐ前まで上がってきて、手すりに手をつく。
身長差がかなりあるので、羽村が下に立っていても、見下ろされる体勢になった。
「へー、いいよ。
通報してみなよ。
警察で全部話すといいよ。
はいはい、って帰されるだけだと思うけどね。
だいたい、二度もキスされるなんて、貴女に隙があるんじゃないですか? って言われるよ」
うっ、言われそうだ、と自分で思った。
「わかりました。
今度から、羽村さんは警戒することにします」
と言って行こうとすると、あ、そう、と羽村は腕をつかみ、身を乗り出してきた。



