課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 



「あっ、ついにつけてきたわね、真湖っ」
とさすが目敏い礼子が給湯室に入るとすぐに言ってきた。

「婚約指輪ですかっ。
 見せてくださいっ」
とみんなが群がってくる。

 礼子は真湖の手をつかみ、
「へー、可愛いじゃないっ。
 これ、誰が選んだの?」
とピンクダイヤが真ん中にあしらわれたVラインの指輪を見て、訊いてくる。

「え、課長」
と言うと、

「ええーっ。
 五嶋課長って、こんな可愛い趣味なの!?」

「もっと、これみよがしに、でかいダイヤとか選ぶのかと思ってました」
と騒がれる。

「あの……みんなの中の課長のイメージってどんなの?」

「敵も味方もあの目つきと口調で叩きのめすっ!
 って感じですよねー」

 味方もかい……。

「そうそう。
 だから、すごいダイヤとか買って、真湖さんや真湖さんのご家族を屈服させる気かと思ってました」

 ……まあ、確かに仕事では容赦ないけど。

 普段はかなり間抜けなところもあるんですよ、と思ったが、それはそれで雅喜の名誉のために言わなかった。

「おはよう、真湖りん。
 この間はありがとう」
と三上が現れ、朝っぱらから愛想のいいイケメンの登場に、きゃーっと後輩たちが騒ぎ出す。