課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「沢田。
 風呂に入るのか」

「課長、酔ってそうですから、お先に入って寝られたらどうですか?」

 酔っぱらいは寝かすに限ると思って言うと、
「一緒に入ろう」
と言い出す。

「なに言ってんですか。
 嫌ですよ」

「なんでだ」

「なんでだ?
 新しい切り返しですね。

 ……恥ずかしいからですよ」

「じゃあ、明かりをつけなきゃいいだろ」

 キスもつきあったのも、結婚も俺が最初なら、お前と一緒に風呂に入るのも、俺が最初だと言い出す。

 ……悪い酒だな、相変わらず。

 録音しておいて、正気なときに聞かせてやりたい。

 どうせまた、線路沿いでキスしてきたときみたいに、うろ覚えになるんだろうから。

 それにしても、結婚も最初って、次がある予定はないのだが。

 っていうか、この人の中で、結婚するのは確定なのか? 実は、と思いながら聞いていた。

 だが、そこで、あ、と気づく。

「そういや、浩ちゃんとは入ったことありますよ、何度か。

 ……子供の頃ですよっ。
 課長っ。

 シャワーかけないでくださいっ。
 課長ーっ!」