真湖はエレベーターの扉が開くのを待つのももどかしく、地下の備品室に飛び込み、トナーを探した。

 うわっ、何処だろ。

 今まで、辞めた堀田さんの担当だったからな。

 場所がわからず探してたなんて言ったら、引き継ぎノートをちゃんと見てないからだ、と課長に激怒されそうだ、と思う。

「あ、あれだ。
 あの箱っ」

 よりにもよって、スチール棚の一番高い場所にある。

 脚立を持ってきて、上に上がった。

 背伸びをして、トナーの箱を引っ張ると、その上に更にもうひとつ、横置きに箱が置いてあったらしく、それが落ちてきた。

 顔面を直撃する。

 ひゃっ、と悲鳴を上げたときには、足はもう脚立を外れていた。

 腰から硬い床に叩きつけられる。

 間抜けな体勢でひっくり返ったので、恥ずかしさから、すぐに起き上がろうとしたのだが、痛みでまったく動けなかった。

「いたたたた……」

「なにやってんだ、莫迦か」

 痛みに目がチカチカしながら見上げると、何故か雅喜が立っていた。

「み、見てたんなら、助けてください」

「いきなりあんな落ち方すると思わないだろうが」