課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 告白されて、つきあって。
 この人を好きになっていただろうか?

 今、考えても、もう、わからないな、と真湖は思った。

 好きかどうかわからないと言いながら、今は、雅喜のことしか考えられないから。

 雅喜を本気で好きか、そうでもないか、という選択肢はあっても、他の誰かを好きかどうか、という選択肢はない。

 いや、だから、ごちゃごちゃ考えなくても。
 結局、課長が好きなんでしょ、と礼子が言ってきそうだな、と思った。

「ねえ、沢田さん、キスしてもいい?」

「なに大真面目に言ってくるんですか」

「いや、ほら、君を好きな気持ちにケジメをつけるのに。
 今、させてくれないのなら、ずっと君を好きで居るよ」

「どんな脅しですか……」

 そのとき、雅喜があの釣り竿を持ってきて、二人に見せているのが見えた。

 一見、いつもと変わらない顔だが、口許の辺りがちょっとだけ得意げだ。

 それを見て、くすりと笑う。

 そのとき、ふいに羽村が口づけてきた。

 慌てて離れるが、みんなこちらに背を向けていて、気づいてはいなかった。

「羽村さんっ。
 警察を呼びますよっ」
とおもわず叫ぶと、

「いや……まず、課長を呼びなよ」
と言われる。

「手近に居るし」