結局買ってしまっていた新しいキャリーケースを引きずり、ホームに行くと、雅喜は既に着いていた。
ベンチに座り、文庫本を呼んでいる。
ぐはっ。
私服も格好いいな。
なにか服とか興味なさそうだったんだけど。
意外にお洒落だ。
自分で選ぶのかな?
幻の『俺の彼女』か。
それとも、ママか。
……ママはやめて欲しいなあ、と思っていると、雅喜がこちらに気がついた。
思わず、社内のように、
「おはようございますっ」
と勢い良く言ってしまい、周囲の人に見られ、雅喜に睨まれた。
「おはよう」
と雅喜は本を閉じ、立ち上がる。
キャリーケースを見、
「意外に荷物がコンパクトだな」
と言った。
雅喜はやはり、あのいつか見た品のいい高そうなキャリーケースで来ていた。
「そうですか?」
「女ってのは、莫迦みたいに荷物を持って歩くもんだと思ってた」
と言うので、
「え? 課長の彼女がそんな人なんですか?」
と言うと、顔をしかめ、
「彼女が居るのに、お前と出かけてたら、大問題だろ」
と言ってくる。



