課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




「此処、眺めもいいね」
と下を眺めて羽村は言う。

「結局、三上とは落ち着いて話できなかったけど」
と言われ、す、すみません、と謝る。

「いや、これでいいんだよ。
 あいつと話しても、なんら解決には至らないから。

 会話にならないって言うかね。
 遊ぶときは、楽しいやつなんだけど」
と言いながら、羽村は手すりに背を預けた。

 中の男どもは、今度は釣りの話になったのか、三上が釣る動作をやって見せていて、それに二人がなにかを言っていた。

「それにしても、この部屋に来ると、なんだか胸が痛くてね」

「はい?」

「だって、沢田さん、此処で課長と暮らしてるんだろ?
 二人でいつも何処で寝てるのかな、とかいろいろ考えちゃって」

 そんなこと考えないでくださいよ、と赤くなる。

「真湖りんって、なにもかも課長が初めてなんだよね?
 それも全部、此処数日で」

 あーあ、と少しのけぞるように手すりに寄りかかり、羽村は言う。

「絶対、課長より僕の方が先に目をつけてたのに。

 声かければよかった。
 沢田さん、絶対、彼氏居ると思ってたんだよね」

 羽村に先に声をかけられてたら、どうだったろうかな、とふと考えてみる。