「ね、雅喜さん。
俺はね、その映画を見て、消防士になろうと思ったんっすよ」
一時間後、浩太郎は雅喜の横を陣取り、何故、自分が消防士になろうと思ったのかを熱く語っていた。
っていうか。
気がついたら、私もまだほとんど呼んだことがないのに、雅喜さんとか呼んでるしっ。
ちょっと悔しい、と思いながら、真湖はスーパーの前の移動販売で買ってきた焼き鳥を齧っていた。
いつもすごくいい匂いがするので、気になっていたのだが、焼いてもらうのに時間がかかるので、なかなか買えないでいたのだ。
「真湖はねえ。
ちっちゃいときから可愛かったんですけど。
昔っから、一言多い奴で、人気はいまいちでした」
と浩太郎が余計なことを暴露すると、どっと笑いが起きる。
何故、そこだけ全員笑う……と真湖は恨みがましく見たあとで、トイレに立った。
戻ってくると、羽村が待っていたので、
「空きましたよ」
と言うと、
「いや、トイレじゃないよ」
と言ってくる。
「沢田さんを待ってたの」
ちょっと外出ない? とベランダを親指で示した。



