課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「なに。
 この優勝したときの写真以外、ほとんど料理と風景じゃん。

 真湖りん、色気のない写真ばっかりだね。
 課長を撮ったりしないの?」

「……そうやって勝手に見る人が居るからですよ」

 羽村も横から覗き、
「でも、こんな表情のある五嶋課長は初めて見たよ」
と言ってくる。

 数少ない人物が写っている写真のひとつ。
 釣り竿を受け取っている雅喜だ。

「普段の課長の表情にも変化はあるんですよ。
 人の目には見分けられないだけで」
と言うと、三上と浩太郎が笑う。

「課長は表情筋、動かないよね、ハシビロコウみたいに」
と本人を目の前にして、羽村が言い出した。

 動かない鳥、ハシビロコウ。

 一日見張っていても、ほとんど動かないので有名だ。

「でも、ハシビロコウって、動かないで待ってて、獲物が来ると、一瞬で仕留めにかかるって聞いたけど」
と浩太郎が言うと、何故かみんな、雅喜を見、ああ、と納得する。

 なにがああだ、という顔を雅喜はしていた。

 三上と浩太郎が芸を始めたりして、そのあとも楽しく吞んだ。

 ……楽しく吞むために集まったんだったかな、とは思ったのだが、まあ、そういう時間が二人を仲直りさせるかもしれないしな、と思い、肝心の話題は出さないままだった。